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移住者の声

移住のきっかけは「丹後ちりめん」。地域のことをシェアして、良い文化をつなぎたい

今回紹介するのは、与謝野町でキャンプ場「Komorevillage tango(コモレビレッジタンゴ)」を経営する関祥汰さんです。
丹後を代表する織物「丹後ちりめん」に引かれて、東京の服飾専門学校を卒業後に与謝野町に移住しました。そんな関さんに、Tangonianの長瀬啓二さんと同町のまちづくり会社、ローカルフラッグで移住・定住サポートなどに取り組む高橋友樹さんが、移住のきっかけや現在の暮らし、丹後の魅力について聞きました。
※2024年12月11日(水)わかもの放送局のインスタライブの対談内容をベースに、インタビューを追加したものです。


プロフィール

(左から)長瀬さん、関さん、高橋さん

関 祥汰(せき しょうた)さん
札幌市出身。東京の服飾専門学校時代に「丹後ちりめん」に興味を持ち、卒業後の2018年、与謝野町の丹後ちりめんの製造・販売会社に就職。その後、会社を退職し、現在は京丹後市の福田工務店で働きながら、与謝野町でキャンプ場「Komorevillage tango(コモレビレッジタンゴ)」を経営している。

長瀬 啓二(ながせ けいじ)さん
一般社団法人Tangonian代表理事。京丹後市出身。
「暮らしと旅の交差点」をコンセプトに、海の京都エリアを中心にインバウンドツーリズムやローカルならではの出会いと体験、地域の智慧を学ぶプログラムの提供などコミュニティツーリズムに携わっている。

高橋 友樹(たかはし ともき)さん
丹後地域のまちづくりに取り組む株式会社ローカルフラッグの社員・地域コーディネーター。同社で移住・定住のサポートなどに取り組みながら、鍼灸師として「鍼灸qitrip(きとりっぷ)宮津」を運営する。川崎市出身。


▶▶「丹後ちりめん」に興味を持ち、与謝野町にメール

長瀬さん:高橋さんは丹後に移住してきて3年目、関さんは6年目になります。お2人が移住したきっかけは何だったんですか。

高橋さん:私は川崎市出身で、2021年に丹後に移住してきました。鍼灸師の資格を持っていて、京都市にいる鍼灸師の師匠を追って亀岡市に移住した後、丹後に来ました。鍼灸は、自然からヒントを得た東洋医学に関係しているため、自然豊かな場所で鍼灸をやりたいと考えていました。そこでたまたま丹後とご縁があり、「自然の近くで鍼灸院をやるチャンスだ」と移住を決めました。私の姉弟子に当たる方が丹後で鍼灸院をしているというのも大きかったですね。

長瀬さん:関さんにも聞いてみたいんですが。

関さん:私は丹後が一大生産地となっている織物「丹後ちりめん」の仕事がしたくて、2018年に移住しました。全国各地に織物の産地がありますが、当時、丹後ちりめんについては現地に行かないと分からないことが多かったんです。それで好奇心をかき立てられて、与謝野町にメールを送り、「織物業者さんを紹介してほしい」とお願いしました。そこで紹介された会社の中の1社に就職しました。

長瀬さん:なかなかのチャレンジですね。

関さん:移住を決めたのが19歳でしたので。若かったです。

長瀬さん:移住してみて驚いたことはありましたか。

関さん:驚いたことではありませんが、ずっと東日本にいましたので、丹後の方言にフィットするまでにかなり時間がかかりました。今は使いこなしています。

長瀬さん:丹後の食についてはいかがですか。

高橋さん:鍼灸のお客さんなどから野菜や果物の加工品をいただくことが多く、めっちゃ豊かだなと思います。ジャムや梅干し、梅酒などを持ってきてくれて、うれしいですね。

関さん:私は北海道出身ですが、海産物、特に生魚がすごく苦手で、全く食べられなかったんです。しかし、丹後に来て食べる機会が増えて、それがおいしくて、普通に魚が食べられるようになりました。全くだめだった寿司も、今は大好きです。

長瀬さん:それは大きな変化ですね。

高橋さん:丹後の魚は本当においしいですね。私は宮津湾のタコを食べて感動しました。

▶▶地元住民の協力を得て、キャンプ場を整備

長瀬さん:関さんの普段の仕事や暮らしについて教えてください。

関さん:丹後の冬は寒いので、今は薪ストーブのある家に住んでいます。冬は、朝ストーブをつけるところから1日がスタートします。薪ストーブ1個で、室内の温度が25度ぐらいになるんですよ。また、雪がけっこう降りますね。60センチほど積もる時もあり、確実に雪かきをしないといけません。

現在は薪ストーブのある家に住んでいるという関さん。冬はストーブをつけるところから1日が始まるという

長瀬さん:関さんは、なぜキャンプ場を始めたんですか。

関さん:私は2020年4月、与謝野町内の別の地域から現在住む温江(あつえ)という地域に引っ越してきました。そこで地元の方たちと仲良くなって、ツリーハウスをつくることになったんです。初めての取り組みでしたが、東京の大学で建築を学んでいる知人や、当時は設計事務所で働いていた妻の力を借りて、地元の方たちとつくっていきました。木と木の間につるしたハンモックやブランコなども含めて、約1年半かけて完成させました。
そしてツリーハウスの完成後、妻、当時の彼女が丹後に帰ってくることになりました。そこで、私と妻の共通の趣味がキャンプということもあり、設備を整えて2023年6月、キャンプ場を始めることにしたんです。現在は、1日1組限定で受け入れています。地元の方たちとは、一緒に食事やお酒を楽しんだり、獣害対策に取り組んだりしています。2024年は地元の祭りにも参加しました。
また、平日は京丹後市の福田工務店で働いています。もともとキャンプ場の木材を購入していて、社長と話す機会も多かったんですが、2024年3月で丹後ちりめんの会社を退職することが決まった後に、誘われました。木工の仕事は未経験でしたが、現在はテーブルを作ったり、旅館に納める木製のキッチンを手がけたりしています。

キャンプ場「Komorevillage tango」では、ウッドデッキを使ってキャンプができる

長瀬さん:仕事が休みの日は、どのように過ごしていますか。

高橋さん:丹後はおいしい飲食店が多く、よく行きますね。イベントに行くのも好きです。

関さん:私は大好きな温泉に行きます。丹後はリーズナブルな温泉があちこちにあって、そんなに混んでいないのがよいですね。おすすめは丹後町の宇川温泉。「よし野の里」はオーシャンビューのお風呂と山側の露天風呂が日替わりで入れるんですが、どちらもいいです。

長瀬さん:丹後でお気に入りの場所やおすすめの場所はどこですか。

関さん:私のお気に入りの場所は、与謝野町の宿泊施設「かや山の家」です。私が初めて町に来た時に泊まった施設で、移住してからは夜にアルバイトに行っていました。今はキャンプ場の経営を手伝ってもらっています。私にとって、丹後のはじまりの場所ですね。そこで提供しているジビエ料理が人気ですので、丹後に来たらぜひ食べてほしいです。

高橋さん:私は与謝野町の道から見る風景が好きですね。野田川という地域に田んぼの中を通る道があり、春夏秋冬で表情が変わります。夏は緑色で、秋は金色のじゅうたんのようです。冬は雪が積もっています。また、関さんの話に出た「かや山の家」の近くに、町を一望できるスポットがあります。自然の偉大さを感じられますね。

長瀬さん:都会で暮らした経験があるからこそ、四季折々の自然に引かれるんですかね。

高橋さん:私はここに来るまで山の色が変わることを知りませんでした。ビルばかりで、遠くに見える山は、ずっと緑色だったんです。丹後に来たら、春は桜でピンク色になるし、秋はオレンジ色になるし、冬になると雪で白くなります。山は生きているんだなと感じますね。

▶▶最初は旅行感覚で。リアルな生活が想像できたら移住検討を

長瀬さん:高橋さんが考える与謝野町の良いところは。

高橋さん:私が働くローカルフラッグが与謝野町から委託されている移住窓口業務で以前、町内の全24区の区長さんを訪ねて区の特徴や行事などを調査しました。すると、どの区でも祭りなどの大きな行事が活発に行われていたんです。神楽をする区があれば、太刀振りやお囃子をする区もあって。区ごとにいろいろな祭りがあって、どれもクオリティが高い。それが、与謝野町の良いところですね。

長瀬さん:関さんは祭りに参加しましたよね。

関さん:獅子舞に参加しました。私が担当するパートは特に練習が必要で、祭りの1カ月前から平日は毎日夜2時間練習をしましたね。当日は達成感とすさまじい疲労でした。

長瀬さん:関さんはこれからどんなことに取り組みたいですか。

関さん:私の今住んでいるエリアは限界集落ですが、良い人たちが良い文化をつないできているんです。祭りだけではなく、地域の温かいコミュニティや、学生のようにお酒を飲んで楽しむ雰囲気が残っています。そういう楽しい感じを地域外の人たちにもシェアして、明るい文化をつないでいきたいです。
現在、地域にちょうどいいサイズの古民家があって、それを活用してくれる方を探しています。カフェなど何か面白いことを始めてもらって、それを私たち地域の人々が金銭面も含めて支援するという、行政の地域おこし協力隊の民間版のような取り組みを考えています。そうして地域を盛り上げることで、移住を考えてくれる人が出てきたらうれしいですね。また、丹後ちりめんを使って何か事業を始めたいとも考えています。

関さんが住む地域には、地元の人々がつくる温かいコミュニティがあるという

長瀬さん:丹後はどういう人におすすめしたいですか。

関さん:自由に暮らしたい人や、都会で窮屈さを感じている人には向いているかもしれませんね。あまり周りのことを気にしなくてもいいですし、外から来た人間が取り組むことに、興味を持ってくれる地元の人もいます。そこで仲良くなることもありますしね。

長瀬さん:地元の人と和気あいあいと楽しめるのはいいですね。最後に、移住に興味のある人に向けて、お2人からメッセージをもらえますか。

高橋さん:移住はとてもハードルが高いことではありますが、丹後には気軽に来ていただきたいです。都会でスキルと持っている人と地域の企業の課題をマッチングする「ふるさと兼業」や京都府各地の企業と課題解決に向けたプロジェクトに取り組む「京都ローカルワークステイ」など、さまざまなプログラムがあります。ふらっと来ていただいても案内しますので、気軽に声をかけてください。

関さん:最初は旅行感覚で来てもらうのがいいかなと思います。観光地を巡って、おいしいものを食べてもらって、今お住まいの地域と比べて何があるのか、ないのかを見てもらった上で、生活ができそうだなというリアルな想像ができたら、移住について検討してみてもよいのではないでしょうか。まずは丹後に来て楽しい思い出を作ってほしいですね。

長瀬さん:あまり気負わずに、気軽に来てみるというのはよいかもしれないですね。


丹後への移住やUターンにご興味のある方で、もっと丹後のことを知りたい方はこちらまでご連絡ください。
・丹後暮らし探究舎(070-1399-5433)
・みやづ移住コンシェルジュ(050-5482-3345)
・伊根ぐらし相談 (0772-32-0502)
・よさの移住・定住サポート総合窓口(0772-43-9012)

このコラムに掲載の関さんや、かや山の家の管理人、青木博さんと、現地にてお話をしたい場合、京都府丹後広域振興局地域づくり振興課企画活性化係(0772-62-4316、[email protected])までお問い合わせください。



(文責:京都府丹後広域振興局農林商工部地域づくり振興課)

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