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移住者の声

大学卒業後すぐに農業者へ

お客様の笑顔で農の道へ

京都府京丹波町瑞穂地区では、高原特有の恵まれた気候風土を生かして様々な作物の栽培が行われています。田内文弥さんは京都府立農業大学校を卒業後、遠い親戚のつてでこの地にやって来ました。

「僕が農業者を本格的に目指したのは、高校2年生の時。年に一度、学生が作った野菜を販売する機会があり、お客様に喜んでいただけたことが農業の素晴らしさに触れるきっかけでした。移住先に選んだ瑞穂地区は、高原特有の恵まれた気候風土を生かして様々な作物の栽培が行われているエリアで、農業者として挑戦するには十分な土地でした。」

瑞穂地区は、瑞穂ほうれん草の産地として有名であり、その他にも東洋人参の一種である京かんざしなどの栽培も盛んに行われています。田内さんはこうしたブランド野菜の栽培はもちろん、夏はナスやスイカ、トマト、秋はサツマイモ、冬はハクサイというように季節ごとの“旬”と呼ばれる野菜も作っています。

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学生時代から農業一筋の田内さんですが、移住後に農業に対する考え方が変わったと言います。

「この地に来てから野菜の本当の美味しさを実感しました。農作業後に収穫した野菜は、スーパーに並んでいるものと比べて味も新鮮さも全く異なるんです。夜の静けさに浸りながら食べる野菜。その新鮮さと美味しさをかみしめる瞬間は贅沢の極みですね。」

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地域の方に支えられて

移住後、農業の魅力を再発見した田内さん。しかし、明るい話ばかりではありません。自然が相手となる以上、その年の天候を考慮して、段取りをする必要があります。作物がうまく育つように工夫を凝らしても、予想外のことが起こり、失敗も少なくないそうです。

それでも田内さんは、農業をする魅力について、朗らかに笑って話してくれました。

「僕が育てた野菜を食べてくれたお客様に笑顔になってもらえるのなら、その笑顔を想像するだけで、頑張る力と気持ちが湧き、めげずに仕事が出来ています。それに、この地域に限らず、田舎は人間関係が濃密で、時には農業のアドバイスをもらったりもしています。それが励みや支えになり、一層野菜づくりに身が入っていきますね。」

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もちろん、こうした人間関係は一朝一夕には手に入りません。

「移住後は、村役場の集会など、人が集まるところに積極的に参加し、顔と名前を覚えてもらおうと試みました。」

と、田内さんは自らの行動を振り返ります。地域へ溶け込もうとする努力が、地元の方たちの心を惹きつけ、結果的に支え合う関係への近道になるのかもしれません。

木々や土、海と寄り添う

山、森、土、海。自然と呼ばれるこれらは昔から、人の営みに欠かせない存在でした。しかし、その存在感はビルのひしめく街で暮らすうちに薄まり、次第に忘れさられてきているのかもしれません。年末年始に盆休みといった長期休暇。街から離れた場所に住む親類の顔を見にいく際に、その存在を思い出す。自然と対峙する時間が、物理的にも心理的にも遠くなってしまったことに違和感を感じている方も多いのかもしれません。

そんななかで、自然と語り合い、生きていく糧を得る。人にとってずっと当たり前だったことを、地域で実践されている方々がいらっしゃいます。農業や漁業、林業など、第一次産業と言われる分野のお仕事は、言い換えると"自然と寄り添い、語り合う仕事"です。毎日が自然との対話ではじまり終わる仕事だと言えるかもしれません。

自然と対峙し語り合いながら生活していくことで、街で暮らしているときにふと感じていた「なぜ仕事をしなければならないのか?」「なんのために生きているのか?」という疑問に対し、シンプルな答えが自分のなかで出ました、という方もいらっしゃまいます。仕事を通して日々感じる自然。きっとそこで見える景色は、決して街にはない、言い表せないほどの美しさを秘めていることでしょう。

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