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イベントレポート

京都ローカルはしご旅 Vol.2「暮らしと観光が共存するまちへ」

こんにちは、京都移住コンシェルジュの磯貝です。

今回は、4月23日(水)に開催された京都移住計画(株式会社ツナグム)主催の「京都ローカルはしご旅〜UIターンではじめた地域プロジェクト〜」イベントレポート第2弾をご紹介します!≪セミナー概要はこちら

第2弾のゲストは杉本 健治さん。テーマは「暮らしと観光が共存するまちへ」。

◆ゲストスピーカー紹介:杉本 健治さん(伊根町)
1987年生まれ。愛知県出身。大学では地域社会学を専攻。 メーカーの営業職を経て、2014年に伊根町(京都府)の地域おこし協力隊に着任。伊根浦ゆっくり観光の会の事務局として、観光推進に携わる。多くの事業者と関わっていく中で持続的な漁業・水産業の必要性を感じ、2017年もんどりやを設立。地域の水産資源を活用した商品開発を行っている。 地域の仲間たちと若手事業者のコミュニティ作りや、京都北部と都市部をつなぐ拠点づくりにも取り組んでいる。

まずは杉本さんから、伊根町の紹介と現在の活動内容、そこに至るまでの背景をお話いただきました。


伊根町の美しさと観光まちづくりに魅かれて


京都府伊根町は、京都府北部、丹後半島の東に位置します。
海際ぎりぎりに立ち並ぶ舟屋が有名で「日本のベネチア」とも称されることも。写真だけでも見たことのある方は多いのではないでしょうか?

伊根町は、古くから漁業で栄えたまちで、最近では観光によるまちづくりを見据えた舟屋の利活用が進んでいます。棚田があり、お祭りも盛んで、伊根町にいると息を飲むような絶景に巡り合えます。

移住を検討し始めてから実際に移住するまでの期間は、たったの2ヶ月だったという杉本さん。
伊根町の地域おこし協力隊へのエントリーシートは、記事を見つけてからなんと1週間で提出されたというので驚きです。

杉本さんは、地域おこし協力隊として活動していく中で、イベントだけでやれることへの限界を感じ、独立を考えるように。地域資源を活かす継続的な仕組みの必要性を感じて「もんどりや(※1)」を起業されました。地域の中で「自分は何屋か」という立ち位置を徐々に確立していったそう。

(※1 地域の水産資源を活用した商品開発や漁業の持続性という観点から水産資源管理の問題に取り組む会社)

現在はイワシのバーニャカウダなど伊根の水産資源を使った商品開発や、水中ドローンの海中探検プログラム、丹後の若手事業者のコミュニティづくりなどなど、活動の幅は多岐にわたっています。


「観光」と「漁業」を繋げたい


お話を聞いた上で、気になったこともっと聞いてみたいことなど杉本さんへの質疑応答タイムへ。
参加者の方から、たくさんの質問が飛び交いました。

参加者: 杉本さんはIターンで伊根町に行かれていますが、地域コミュニティに入るときに大変だったことはありますか?
杉本さん:伊根町への移住は即決だったので、行くまでは地域の方との関係性も出来ておらず、最初は集落や町内での振る舞い(ゴミの捨て方や挨拶など、地域独自のルール) を教えてくれる人がいなかったので、知らないうちに誤解が生まれていたこともありました。ただ、最初に仲良くなった役場の方がいろんなところに連れて行ってくれて、町の人とも知り合いになれたので、その後はあまり困らなかったです。
あとは消防団や移住者のコミュニティがあるので、少しずつ顔を出してみるのもいいかもしれません。丹後はアクティブな人が既に繋がっていて、コミュニティが出来上がっていたので、そのうちの1人に知り合えば、数珠つなぎに関係性が繋がっていきました。

参加者:なぜ水産資源に目をつけたんですか?
杉本さん:伊根町の観光資源である舟屋を見るために観光客は訪れてくれるけど、遊びに来てくれても地元の魚を食べていなかったり、宿も地元の魚を使ってなかったり。地元の漁師さんも、観光客のことをあまりよく思ってない人もいることが分かって
ちゃんと「観光」と「漁業」を繋げたいという気持ちがずっとあったんです。そこで伊根の水産資源を使って、観光客向けに商品を作れないかと考えるようになりました。

参加者:その中でもイワシのバーニャカウダを作ろうと思うに至った経緯などあれば教えていただきたいです。
杉本さん:まず、漁師さんに聞き込みをし、扱いに困っているというイワシを食材として使うことを決めました。また若い世代の観光客向けの商品がなかったこともあり、手軽に食べられる「バーニャカウダ」に。
地域の人にとって身近な食材であるイワシを商品化することで、地域の人たちに「変化が起きる」ところを見せたかったという想いもありました。

その他にも、「水中ドローンをやろうと思った理由は?」「地域での自分の立ち位置の作り方」などなど、たくさんの質問が出てきました。


大切なのは「地域のために自分がどう役に立ちたいか」


その後、少人数のグループに分かれて、「地域✖︎○○でやってみたいことは?」というテーマで、アイディアを出し合ったり、考えを深める時間に。

あるグループからは、「移住✖︎世界」というキーワードが出て、地元の人が気づいていない魅力も、移住者であれば見つけられる可能性もあるのではないか、それを「地域✖︎○○」にして世界に発信できるのではないか、というアイディアが出てきました。

これに対しては杉本さんも
「私もこれは必要だと思っていて注目しています。例えば京都府の和束町(※2)にはお茶をベトナムと繋げて成功している事例もあったりします。地域と、世界のある地域をダイレクトに繋げていけたら、可能性は無限大だと思っています。」と大きくうなずいていました。
(※2 京都府南部の宇治茶の生産地)

また、「今自分がやっていることを、どう地域と繋げたらいいのかが分からない」「自分には際立ったスキルや得意なものがないので、その場合はどうしたらいいのか」などの質問に対しては、
「自分も特技はもともと特になくて、伊根町に来てからやり始めたことを続けている感じです。観光も興味はあったけど、最初は初心者でした。”自分が地域のためにどう役に立ちたいか”という視点を持って、”とりあえずやってみる”ことも大切です。たとえ最初は分からなかったとしても、地域で過ごしているうちに自分のできること、得意なことが見えてくるようになると思います。”仕事が暮らしの場に落ちてる”という言葉がぴったり。地域って面白いですよ!」といきいきとお話してくださる杉本さんが印象的でした。

最後に、ゲストの杉本さんが、地元伊根町の向井酒造さんと一緒につくったECサイトをご紹介します。今回のお話の中でも出てきたバーニャカウダもお酒とセットで購入出来ますよ!
「日本で一番海に近い酒蔵」と呼ばれる向井酒造さんのお酒は、魚料理にとてもよく合います。伊根町の食材とお酒をおうちにいながら味わえる贅沢なセット。家飲みにもぴったりですね。
「伊根の酒とうみゃーもん、ぜひお試しあれ!

▶︎次回は京都ローカルはしご旅 Vol.3「何故、新卒でUターンして起業したのか?」ゲスト:濱田 祐太さん(与謝野町)】 お楽しみに!

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(文責・京都移住コンシェルジュ磯貝)

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