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移住者の声

大学卒業後にパートナーと移住、京丹後地域づくり協同組合での経験を生かし酒蔵に就職

今回は、京丹後市の酒造会社「木下酒造」で働く廣瀬純乃さんを紹介します。
廣瀬さんは、大学卒業後に与謝野町の会社に就職した後、「京丹後地域づくり協同組合TEAM HOME TANGO」(以下、ほむたん)での勤務を経て、木下酒造に就職しました。「京丹後が好き」という心の声に従ったという廣瀬さんに、Tangonianの長瀬啓二さん、先輩移住者で丹後暮らし探究舎の移住相談員、小林朝子さんが、移住を決めたきっかけや現在の仕事、暮らしについて聞きました。
※2024年11月27日(水)わかもの放送局のインスタライブの対談内容をベースに、インタビューを追加したものです。


プロフィール

(左から)小林さん、廣瀬さん、長瀬さん

廣瀬 純乃(ひろせ あやの)さん
兵庫県丹波市出身。大学時代に授業で京丹後市を訪れたことをきっかけに、移住を考え始める。大学卒業後は与謝野町の会社に入社し、2022年に京丹後地域づくり協同組合TEAM HOME TANGOへ転職。さまざまな事業所での勤務を経て、2024年、木下酒造に入社。
(参考:今日と明日インタビュー

長瀬 啓二(ながせ けいじ)さん
一般社団法人Tangonian代表理事。京丹後市出身。
「暮らしと旅の交差点」をコンセプトに、海の京都エリアを中心にインバウンドツーリズムやローカルならではの出会いと体験、地域の智慧を学ぶプログラムの提供などコミュニティツーリズムに携わっている。

小林 朝子(こばやし あさこ)さん
移住の相談や定住に向けての伴走支援、空き家の相談などを受け付ける丹後暮らし探究舎の移住相談員。北海道旭川市出身。


▶▶きっかけは大学の授業、パートナーと移住を検討

長瀬さん:私はもともと京丹後市出身で、12年ぐらい前にUターンしてきました。小林さんと廣瀬さんが京丹後市に移住したきっかけは何だったのでしょうか。

小林さん:私が京丹後市に移住したきっかけは、京都府が実施した婚活イベントでした。そこで長瀬さんと出会い、丹後の面白い場所や面白い人を教えてもらううちに、「この人たちが住んでいる丹後に引っ越したい」と思うようになりました。
月に1、2回のペースで丹後に通ううちに家を紹介され、車を紹介され、仕事も紹介され、「これは移住するしかないな」と。当時は京都市に住んで仕事をしていました。貯金は全然ありませんでしたが、「これだけ頼れる人がいるのなら」と移住を決めました。

廣瀬さん:私は大学の授業で京丹後市に来たのがきっかけです。1泊2日のフィールドワークで、FMたんごで地域の魅力を伝えるという授業でした。1日目の夜に地元の人たちと食事をする機会があって、先輩たちも私も、初対面の人たちに人生や恋愛の相談をしていたんです。それが衝撃的で、とても印象に残りました。そんな地域の雰囲気に引かれて、「京丹後に住みたい」と考えるようになりましたね。

小林さん:私は廣瀬さんが大学生の時に知り合いましたが、今のご主人である彼氏との移住を考えていて。パートナーとともに新卒でこちらに来るという新しい形の移住ですね。都会でキャリアを積んでからの方がいいんじゃないかとも思いましたが、2人とも丹後に来て、ちゃんと自分たちのやりたいことを見つけながら進んでいますので、どこからスタートしてもいいんだなと学ばせてもらっています。

長瀬さん:廣瀬さんはパートナーと移住することについてのリスクは考えましたか。

廣瀬さん:京丹後で働きたいと考えた時に、彼も一緒に丹後に来て、いろいろな会社を見て、一緒に考えたので、それをリスクだとは考えていませんでしたね。私は一緒に働く人を重視して京丹後に絞って就職活動をしましたが、新卒では与謝野町の会社に就職しました。

▶▶念願の京丹後へ!ほむたんで働いた酒蔵に就職

廣瀬さん:与謝野町は京丹後の隣町ですが、次第に「私はこんなに京丹後が好きなのに、なんで京丹後にいないんだろう」ともやもやするようになりました。それで転職を考えたタイミングで、知り合いの方からほむたんを紹介されたんです。

京丹後地域づくり協同組合TEAM HOME TANGO(ほむたん)
総務省の制度である「特定地域づくり事業協同組合制度」を活用した協同組合で、京都府内では綾部市に次ぐ2件目の適用団体。
組合が職員を雇用し、酒蔵や農業、漁業など繁忙期が異なる職種を組み合わせて派遣。職員は年間を通じて職場を確保でき、事業者は人手不足を改善することができる。

廣瀬さん:組合に雇用されながら、いろいろな場所で働けるということに魅力を感じました。いろいろな場所で働きながら、「ここだ」と思えるところが見つかったらいいなと。そして2023年秋に、京丹後市への移住を果たしました。

小林さん:組合では、どのような場所で働きましたか。

廣瀬さん:2022年に組合に就職し、酒蔵に行ったり、牧場でお菓子を作ったり、「roots」(京丹後市未来チャレンジ交流センター)の相談員をしたりしましたね。
組合では、短い期間でいろいろな事業所を見られましたし、仕事を覚えるスピードなどから、職種ごとの自分の向き・不向きについて考えることもできました。そして、私は最終的に木下酒造に就職しました。
木下酒造に就職を決めたのも、一緒に働きたい方たちがいたからです。最初は緊張しましたが、皆さんとても優しくて。2022年の冬と2023年の冬に働きましたが、2回目は実家に帰ってきたような安心感がありました。お酒の出荷作業などに携わりましたが、一つの作業に没頭したり、効率的な作業の進め方を考えたりするのも楽しかったです。もともと日本酒が好きだったということも、一つの理由ですね。

長瀬さん:木下酒造では、どのような仕事をしているんですか。

廣瀬さん:正社員として、週5日勤務しました。お酒のラベルを張りながら、ゴミが入っていないかなどをチェックする商品づくりや出荷作業をしていますね。

日本酒のラベルを張りながら、商品の状態をチェックしていく

長瀬さん:休みの日はどのように過ごしていますか。丹後でイチ押しの過ごし方があれば。

廣瀬さん:編み物をすることが多いですね。今日も持ってきていますが、スーパー「にしがき」のレジ袋を丹後ちりめんで再現した袋に毛糸や道具を入れて持ち歩いています。

長瀬さん:丹後のシンボル「にしがき」の袋ですね。

廣瀬さん:今はマフラーを編んでいます。この袋を常に持ち歩いていて、ちょっと休憩したいなという時に編んでいます。ドライブの途中で、車を停めて編むこともあります。

長瀬さん:“編み物休憩”ですね。丹後の中でお気に入りのスポットはありますか。

廣瀬さん:海ですかね。海が見える駐車場に車を停めて、車の中で編み物をします。夏は日が長くなるので、仕事帰りに海でブルーシートを引いて、編み物をすることもありますね。今年の夏は夕日ヶ浦でしました。

長瀬さん:まさかのそこでも編み物なんですね。小林さんはどうですか。

小林さん:私も海辺によく行きますが、久美浜町の箱石浜がめちゃくちゃ好きで。少し上がったところにすごく眺めのいい場所があるんです。丹後町の城嶋にも、奥に入っていくと木と木の間にいいスポットがあります。

廣瀬さん:編み物スポットに追加したいです。

小林さん:いろいろなポイントで編み物をして、写真残していってほしいよね。

長瀬さん:編み物マップ。もしかしたら全国から編み物が好きな人がいいロケーションを求めていらっしゃるかもしれない。いいですね。

「編み物はマスト」だという廣瀬さん。帽子やマフラーなどを制作している

▶▶中と外、両方の視点から地域を見る

長瀬さん:小林さんは京丹後市に移住して約10年、廣瀬さんは1年が過ぎましたが、丹後の冬についてはどう感じていますか。

小林さん:雪が降る年もあれば降らない年もありますが、北海道出身の私からすれば、一瞬雪を楽しんだ後に溶けてくれるのでちょうどいいバランスだと思っています。あと、冬に大荒れの海を見るのが好きですね。丹後の冬はほとんど曇りや雨ですが、雨の後は、よく虹がかかります。移住を考えている人は、夏だけでなく冬も見てほしいです。

廣瀬さん:私が初めて見た丹後の海は夏の海でしたので、冬の海は差がすごくて驚きました。

長瀬さん:ザ・日本海って感じですよね。
廣瀬さんは、今後はどのようなことにチャレンジしてみたいですか。

廣瀬さん:飲食店で働いている夫が「いつかは自分のお店を持ちたい」と話しているので、私も一緒に携われたらいいなと思っています。彼は料理を作れるというスキルを持っているので、私も何かスキルを身に付けて、面白いことができたらいいなと模索していますね。

長瀬さん:最後に、実際に丹後への移住を考えている人に向けたメッセージを聞かせてください。

廣瀬さん:私は京丹後への移住を考え始めた時に、まず大阪の移住センターに行きました。あえて京丹後の外から話を聞いて、それから中の人にも話を聞いていきました。両方の視点から京丹後の話を聞くことは大事でしたね。

小林さん:丹後に移住する、または丹後の人とはいいお友達でいつつ、他の場所を探すといったことを判断するためにも、まずは丹後の誰かに会ってみてほしいです。同じ市内でも、地域によって住み方や過ごし方が変わってきますので、いろいろな人に会ってほしい。

長瀬さん:ありがとうございます。丹後暮らし探究舎などの移住相談窓口では、随時相談を受け付けていますし、先輩の移住者などいろいろな方につないでもらえますので、何か気になることがあれば、気軽にご相談ください。


丹後への移住やUターンにご興味のある方で、もっと丹後のことを知りたい方はこちらまでご連絡ください。
・丹後暮らし探究舎(070-1399-5433)
・みやづ移住コンシェルジュ(050-5482-3345)
・伊根ぐらし相談 (0772-32-0502)
・よさの移住・定住サポート総合窓口(0772-43-9012)

このコラムに掲載の廣瀬さんや京丹後地域づくり協同組合(ほむたん)と、現地にてお話をしたい場合、京都府丹後広域振興局地域づくり振興課企画活性化係(0772-62-4316、[email protected])までお問い合わせください。



(文責:京都府丹後広域振興局農林商工部地域づくり振興課)

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