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暮らしをひらく人たちと出会う、南丹市・摩気地域の10年

京都市内や大阪市内から車でおおよそ1時間ほど。南丹市園部町の中央部に位置する摩気(まけ)地域は、谷筋を流れる3本の川沿いにある8つの地区からなる集落です。

空から見た摩気(宍人地区)の様子。(写真提供:小林 康夫さん)

37年前に約2,400人いた人口は現在、約1,200人ほどに。2015年3月に閉校した摩気小学校の利活用を皮切りに、10年以上にわたって、人口流出・農地の維持管理・高齢化などの課題に対して、地域の方々と移住者が力をあわせながら、少しずつ新しい暮らしのカタチをつくってきました。

摩気高山の郷振興会や農村RMOの拠点である旧摩気小学校。

地域内で移住定住施策を担当してきたのが、NPO法人「摩気高山の郷振興会」で事務局次長を務める小林 康夫(こばやし やすお)さんと、京の田舎ぐらしナビゲーター(※1)として空き家や農地の案内をしてきた小林 全弘(こばやし ぜんこう)さん。おふたりは、「農村RMO(※2)」と呼ばれる摩気地域振興協議会のメンバーでもあります。

※1)京の田舎ぐらしナビゲーターとは
“移り住む方”と”受け入れる地域”の架け橋として、移住を検討されている方に対し、地域の窓口として対応を担っていただくべく、地域の事情に詳しく、地域活性化に想いがある方を市町村からの推薦に基づき京都府知事が認定しています。移住を検討されている方の相談や不安に応えるため、地域の暮らしに関する説明やアドバイスを行うほか、実際に地域を案内、また移り住まれた後も、地域に円滑に溶け込めるようフォローするなど、地域の未来のために日々活動されています。
参考:京の田舎ぐらしナビゲーター通信『里の風~一緒に暮らそう京都丹波~』を発行しています

※2)農村RMO(農村型地域運営組織)とは
人口減少や高齢化が進む農村地域で、複数の集落が協力して生活や農地を守る取り組みを行う組織のこと。小学校区のような広い範囲を対象に、住民、農家、自治会、福祉組織などが力を合わせて活動します。
左から、小林 康夫さん、小林 全弘さん。たまたま名字は同じですが、全弘さんのご出身は福知山市。

本記事では、地域のおふたりに加えて、2年前にカナダから移住し、摩気の美しい里山を未来へつなぐマルシェ「make MAKE marche (メイクマケマルシェ ※3)」を立ち上げたアダミック アンディさん・池側 和子(いけがわ かずこ)さんご夫妻にお話を伺いました。

※3)make MAKE marcheとは
年に4回、旧摩気小学校で開催されているマルシェ。地域に眠っている工芸品や、地域の方がつくる野菜や苗を、外から来た人たちに届ける場です。「摩気」をローマ字表記にすると「MAKE」になることから名付けられました。準備は、地域のコアメンバー、実行委員、出店者と3つのLINEグループを活用しながら進めています。

10年で40世帯が移り住む摩気の地域づくりとは

摩気地区が移住促進に本格的に動き出したのは、今から約10年前。人口減少への危機感から移住特区の申請を行ったり、移住定住の活動が動きはじめます。以来、将来を担う子どもたちを心豊かに育む「摩気高山子ども未来塾」をはじめ、イベントやレクレーション、地域の様子を伝える新聞づくりや空き家の啓発冊子の作成など、地道な活動を積み重ねてきました。

摩気高山子ども未来塾「水難事故から自分の命を守る」開催時の様子。(写真提供:小林 康夫さん)

そうした取り組みをともに支えてきたのが、仕事で全国各地を転勤した後、摩気地区へIターンした全弘さん。地域からの信頼が厚く、地元の方々と日々の生活のなかでコミュニケーションを取りながら、地域側の空き家の事情や、移住希望者の人となりに向き合い、これまでさまざまな世帯の移住を後押ししてきました。

移住のきっかけやマルシェの立ち上げについてお話くださったアンディさんと和子さん。

アンディさんと和子さんご夫妻は、カナダの住宅価格の急高騰などから日本での暮らしを選んだそう。空き家を探していたなかで、南丹市の空き家バンクの対応の早さと、面接で移住希望者に真摯に向き合う誠実さに魅力を感じたのだとか。おふたりは「『偶然の出会い』とはまさにこのことで、ご縁に導かれるようにこの家に決まりました」と当時を振り返ります。

「はじめて会ったとき、ふたりならきっとこの家を活かしてくれる、この地域で活躍してくれる、そんなひらめきがあったんやな」と全弘さんは笑います。

移住後は、移住者交流会で出会った方々の想いや、地元の方々の得意なことを活かしたいという気持ちから、「make MAKE marche」の立ち上げに動き出しました。

おふたりが移住後に感じている摩気の魅力

移住して2年、アンディさんと和子さんの暮らしは大きく変わりました。「現実とは思えないぐらいの、夢のような2年間でした」とアンディさん。近所の人たちはみな親切で、全弘さんの指導のもと、移住して1年目から夢だった米づくりにも挑戦。

「3〜4年かけて田んぼを覚えられたらいいなと思っていたのに、まさかこんなに早く経験できるなんて」と話します。朝7時からの草刈りなど、身体を動かす暮らしの中で、アンディさんの体重は12キロも減ったのだとか。現在は、3反の田んぼを管理しているというので驚きです。

「アンディは外国人なので、日本へ移住することに少なからず不安はありました。けれど、前述の空き家バンクの対応や、地域のキーパーソンである二人のオープンマインドさにとても惹かれました。近隣にも海外経験のある方が意外とたくさんいて驚きました」と和子さんのお話はつづきます。

アンディさんに「移住してどうですか?」と尋ねると、隣を見て「ベリー ベリー ハッピーやな」と全弘さん。

康夫さんは、地元出身者として、地域のことを本気で考える住民はそれほど多くないと感じてきたなかで、移住してわずか数年の人たちがこれほど地域のために動いてくれることに、驚きと感謝を感じているそう。全弘さんもまた、外から来た人の存在が、閉鎖的になりがちな集落の空気を、少しずつやわらげてきたと振り返ります。

摩気の美しい原風景を次の10年へ

10年以上にわたる取り組みを振り返りながら、康夫さんは、10年後の摩気地区について「アンディさんや和子さんをはじめ、移住者と私たち地域住民が一緒になって地域を動かしていく未来を考えています。地域の活性化には、何より人が大事ですね」と語ります。

和子さんは、海外や都市部での生活を経て、利便性だけが暮らしの豊かさではないと気づいたご自身の経験から「AIはどんどん便利な世の中をつくるかもしれないけれど、同時に自然や土に触れて人間らしい生活を求める人も増えていくのではないかと思います。マルシェを通して地域の魅力を発信し、摩気と外から来る人の新しい接点をつくりたいです」と締めくくりました。

摩気地区は、移住者と地域の方々がそれぞれの得意なことを持ち寄りながら、これからも少しずつ、新しい暮らしのカタチをつくりつづけていきます。「いつか移住したい」という方はもちろん、「まずは関わりを持ちたい」という方や「農のある暮らしに興味がある」という方まで、まずは、「make MAKE marche」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

◯次回「make MAKE marche」は9月27日(日)開催!
マルシェの開催にあわせて、摩気・天引の2地域を巡る移住ツアーも開催予定です。

◯摩気地区をもっと知りたいみなさまへ
・移住ツアーのご案内▼

・南丹市摩気地域の情報サイトはコチラ▶ 京都・摩気ナビ

・make MAKE marche 

取材日:2026年7月28日、2026年8月2日
執筆:一般社団法人Fogin 並河杏奈
(南丹広域振興局地域づくり振興課)

 Check!南丹市の移住情報 

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「日本一の田舎をめざす美山エリア、ちょうどいい田舎の日吉エリア、都市近郊の利便性を持つ園部・八木エリアなど、さまざまな顔を持つ南丹市。京都市や大阪市から程よい距離にあり、市民のまちづくり活動が盛んです。

 まけ 

移住促進特別区域「南丹市園部町摩気地区」について▼

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