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移住者の声

都会と田舎の“いいとこどり”の『トカイナカ』。 夢から描く理想の暮らし

藤田慎二郎さん・理恵さん(亀岡市東本梅町)


今回は、JR京都駅から快速電車で約20分のところに位置する亀岡市に、Iターンで移住された藤田慎二郎さん・理恵さんからお話を伺いました。
亀岡市西端、美しい田園風景と豊かな自然が広がる東本梅町へ二段階移住された藤田さんご夫妻。仕事は京都市内に勤めながら、のびのび子育てできる田舎暮らしを満喫しているお二人に、子育てのこと、都会と田舎の暮らしの違い、移住して感じる「存在価値」など、移住を考えている方へのメッセージが詰まったお話をお聞きしてきました!

目次
■ プロフィール
□ まずは一度住んでみる「二段階移住」という選択。
■ 自然の中で、自由にのびのび子育て
□ 草刈り?役?都会と田舎の「暮らし」の違い
■ まずは夫婦で存分に、夢を描くところから始めてみる

藤田慎二郎さん(左)・理恵さん(右)
慎二郎さんは兵庫県出身、理恵さんは北海道出身。結婚を機に京都市内へ。亀岡市東本梅町へ『二段階移住』をしており、2010年4月に亀岡市の駅前にあるマンションに移り住み、2011年2月から亀岡市西端に位置する農村地域、東本梅町に本格的に移住。慎二郎さんは、仕事はそのまま京都市内に勤務し、理恵さんは、「東本梅町自治会」の事務と、自然保育を行う亀岡市立認定こども園「森の自然こども園東本梅」の活動をサポートする有志団体「わの会」の事務を務める。東本梅町への移住後に生まれた二人の息子さんと都会と田舎のいいとこどりの「トカイナカ」な暮らしを満喫中。


まずは一度住んでみる「二段階移住」という選択。



――亀岡への移住を考え始めたきっかけはなんですか?

慎二郎さん:「自分たちのこだわりを詰め込んだ、好きな家で暮らしたい」という気持ちがあって。よく妻と一緒に『劇的ビフォーアフター』という家をリフォームするテレビ番組を見ながら、「こういう家がいいね。ああいう家に住みたいね。」といろんな夢を語っていました。

そのうちに、「自分たちの希望の家」がなんとなくできてきて、その希望を叶えるためには広い家が必要だね、と。能の稽古を二人とも趣味でやっているのですが、ずっと「自宅に稽古場があったらいいな」とお互い話していたんです。

理恵さん:あと、子育てのことを考えると、「家が密集していない田舎がいいね」という話もしていました。
私の実家がマンションで、ものすごく生活音を気にして日々生活していたので。音を気にせずに育てられる環境じゃないと、子育ては難しいかなと考えていたんです。

たまたま兵庫県にある夫の実家に、JR福知山線で帰っていた途中、電車で南丹市の八木あたりを通って。そのときに「あ、ここなら子育てできるかもしれない」と、ふっとイメージがわいたんです。

二人で、「このあたりよさそうだね!」と。

慎二郎さん:それで、僕の会社と実家のちょうど真ん中あたりにある「亀岡市」なら、会社も行ける範囲ですし、実家も近くなる。しかも田舎なら、それなりの値段で広い家が手に入って、子育ても安心してできる。さらに、能のための稽古場も作れるのではないかと。
自分たちの条件から当てはめていったら亀岡あたりに自然と決まっていきました。


――最初は亀岡の駅前のマンションに住み「二段階移住」をされたのは、なぜですか?

慎二郎さん:亀岡に住みたいなという気持ちはあったものの、まだ亀岡での生活が全然イメージ出来ていなかったので、まずは一度、亀岡駅の近くで賃貸の家にお試し感覚で住んでみることにしたんです。

実は僕はもともと長時間の電車通勤が苦手で、亀岡に住みたいけど、京都市内にある会社からは遠くなるし、電車通勤にもなるので「大丈夫かな」と、ものすごい不安があったんですよね。

でも実際には、全く問題なかったです。亀岡駅から会社の最寄駅まで20分ほどしかかからず、あっという間でしたし、フレックス勤務なので電車が混むこともなく。電車通勤に関しては、すぐに「大丈夫だな」と分かりましたね。


――今の家や地域はどのように探されたんですか?

慎二郎さん:亀岡からの電車通勤の不安が払拭されるとすぐに、自分たちでまちの様子を見たり、物件探しを始めました。

当時は空き家バンクはまだなかったので、この家は民間の不動産会社を通して見つけました。
2010年4月に亀岡駅前のマンションに引越して、その年の9月に東本梅町にある今の家を契約して、翌年2月にはもうこの家に住み始めていました。

理恵さん:そんなすぐに見つかるとは思っていなかったんですけどね。私たちの希望の条件にぴったりな家が見つかって、「こんな家もう他にはないだろう」って、すぐに決めました。


自然の中で、自由にのびのび子育て



――子育てのために、音も気にされてましたが、実際どうですか?

理恵さん:東本梅町に移住してすぐ子どもが生まれたんですが、音に関しては全くなんの問題もなく、自然なままに音を出しまくっています。子どもが楽しく騒いでいるときも、そのまま自由にしてあげられますし。

私の実家に子どもを連れて帰ると、テレビを見ているだけでも、楽しくなって座りながら足をブンブン振って、床にどんどん当たったりするので、「そんな大きい音出したらだめ!」って、子どもが一歩も動けないような状態になったりしていて。

今の家では、そういうのも全部気にしなくていいので、子どもものびのびさせられますし、私もストレスを感じることなく、すごくいい環境です。


――子育て環境でいうと、東本梅町には、自然保育を行う亀岡市立認定こども園「森の自然こども園東本梅」がありますよね。

理恵さん:はい、ここの自然豊かな環境を活かして2019年から自然保育を始めて、2020年からは亀岡市の認定こども園になり、より多くの方が通えるようになりました。

もともと子どもの減少により、旧東本梅保育所を統廃合するという話が出て。でも、地域として「子どもたちのために保育所を残したい!」と、ずっと活動していたんです。私もちょうど保育所の保護者会の会長をしていて、同時期に東本梅町自治会の事務にも誘われて、両方の立場から、この環境で子育てができる方法はないか、地域の人と一緒に考えていました。

すると亀岡市長が、「自然保育なら、子どもが増えて残せるかもしれないよ」と話を持ってきてくださったんです。当時、自治会や保護者の代表などで結成していた「東本梅保育所を考える会」の中で話し合い、「地域みんなで協力するので、ぜひやらせてください!」と。
保育所の活動をサポートするために、有志団体「わの会」を立ち上げ、地域のみんなで協力しながら、一緒に保育所の園庭を作ったり、野外活動や手作りの遊び場作りをお手伝いしたりと、さまざまな活動を行ってきました。

▲川遊びのときには地元のおじさんたちが付いてきてくれたり、地域の方から田んぼを借りて一緒に田植えをしたり。園の畑でも野菜を育て、育てたさつまいもを焼き芋にしたりと、みんなすごく楽しそう。


理恵さん:単に”自然の中で”というだけじゃなくて、子どもたちの好奇心や創造力を刺激するような活動を行う中で、自由に子どもが感じたことを大事にしたり、子どもが発見したものから何かしてみたり、そういうことをすごく大切にしてくれるので、子どもたちが、のびのびしているのを感じますね。


草刈り?役?都会と田舎の「暮らし」の違い



――東本梅町に移住してみて、逆に大変だったことはありますか?

慎二郎さん:草刈りかな。夏は特に、ほんとに草刈りばっかりしています(笑)
夏だと自分の家の周りと、地域の草刈りで、2週間に1回くらい。子どもがいると、さらに学校関係の草刈りもあったりします。

田んぼを持っている地元の方は、もっともっとやっているので、僕らは楽な方ですが。
こういうところに住むなら草刈り機は必須ですね。

理恵さん:移住するまでは、草なんか自然に生やしておけば、むしろ緑が増えていいと思っていたんですけど、でも、放っておけばいいって問題じゃないんですよね。子どもがいるとヘビとかも怖いですし、ほんと何がいるか分からないレベルで草が生えているので。

ずっとやりたいと思っていた家庭菜園。ご自宅の広い庭で、いろいろな野菜や果物栽培にチャレンジしているのだそう。


――草刈り以外で地域の集まりなどはありますか?

理恵さん:他には、溝掃除と新年会と、公民館の大掃除くらいかな。

私たちが住んでいる地区は結構少なくて、同じ東本梅の中でも、区ごとにもっとたくさんあるところもあるんですけど。私たちはお寺や神社の組合にも入ってないし、少なめかも。

慎二郎さん:あとは役(※1)がいっぱいあるんです。いろんな役が回ってくるんですけど、そういうのは移住して実際地域に入るまでは、想像できなかったですね。

僕の場合だと、今は体育振興会(地域の運動会の主催・準備など)という役が回ってきています。あと役ではないですが、消防団(消化活動や防災訓練など)の活動などもあります。

もちろん楽しいところもあるけど、正直めんどくさいところもあります。でも、やらないという選択肢はないので、楽しんでやるしかないですね!(笑)

(※1 自治会や地域住民の安心・安全なまちづくりのために活動する組織や役職)

理恵さん:もっとたくさん人がいたら、役も頻繁に回ってこないので、あまり負担に感じないと思うんですが。

慎二郎さん:僕たちが住んでいる地区は東本梅町の中でも小さくて、15〜16世帯くらいしかないんです。その中で、区長と副区長を決めているので、そうするとどうしても何度か回ってくるんですよね。

僕の年でもう副区長をやったりするんですが、副区長になると、東本梅町の会議や、東本梅町全体での草刈りなどにも出ることになるので、そうなると毎週末なにか地域の予定が入ってきて。そういう役が2つ3つ重なってきたら、結構忙しくて大変になってくる感じです。

でも、大変な部分もあるけど、地域の人との関係が作れて居場所ができるようになるのは、いいところだなと思っています。

理恵さん:私は今年「子ども育成会」の役があたっているので、その立場だからこそ、親も子どもも楽しめるようなことをやっていけたらなと思っています。例えば、気球を飛ばせないかな?とか(笑)
自分も楽しみながら面白いことをしていく中で、「ここで子育てしたいな」「地元に帰ってきたいな」と思ってくれる人が、増えてくれたら嬉しいです。


――京都市内に住んでいたときと今の「人とのつながり方」に変化はありますか?

理恵さん:全然違いますね。京都市内にいたときは、私たちがその地域に住んでいることを、多分誰も知らないし、どんな人だろうが全く関係ないという感じだったと思うんです。

でも東本梅に来たときは、いきなり「運動会に来てきて〜!」と引っ張っていってくれて、「い、いいんですか?!いきなり地域の人として参加していいんですか?!」という感じで。最初からいろんな競技に駆り出されて、思いっきり参加していました(笑)

地域みんなのことをお互いに知っていますし、なんか、すごく「ここにいる」って感じがあります。

慎二郎さん:ここに来たら、「15分の1」なので、すごい存在感というか。比率が高いんですよね、自分たちの。

地域のみんな、僕たちのことをすごく大事にしてくださっていて、地域に入ってきてくれるのをすごく喜んでくれています。「よそ者扱い」という感じはなく、みんな僕たちの意見もちゃんと聞いて、尊重してくれますし。

理恵さん:区の役とかで、いろんな運営に携わっていくなかで、自分たちの意見が、まちの何かに反映されたり、地域の決定に関われることが、私は少しびっくりしましたし嬉しかったです。

ここにいると、個というか、人間としての自分の存在価値が、すごく高く感じますね。

▲今年は東本梅町に住んでいる「人」にフォーカスして、移住者の人や、東本梅町に住むすごい人、地元の人がどんなことを思って暮らしているのか、自分自身も知りながら地域内外の人に発信していきたいと話す理恵さん。


まずは夫婦で存分に、夢を描くところから始めてみる



――最後に、移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。

慎二郎さん:まずは夫婦でしっかり話し合うことが大切なんじゃないかなと思います。僕たちの場合は、2人の中で条件や「したい暮らし」がもともとしっかりあって、すぐに動いた感じなので。自分たちの条件や目的、優先順位をまずはっきりさせることが必要なのかなと思います。

理恵さん:気軽に、足を運んでみるというのも大事かなと思いますね。
田舎に移住したいけど「いつか」とか「不安だな」とか思っていたとしても、実際に見に行ってみたら、「ここだ!」と感じることもあるので。うちはそうだったから。

あと、夫婦で一緒に夢を語ってみるというのがいいかも。あまり制限をかけずに。
私たちも「能舞台が自宅にほしいから、6m×6mの板の間を作ろう」と、普通に考えたら無理なんじゃないかというところから始まっているので。

慎二郎さん:最初はいろいろな夢をかかげて、そこから実現可能なものに落とし込んでいって、それを中心に考えたら決まっていった感じですね。

最初は能舞台だけじゃなく、弓道場も作りたいねって話していたんですよ。

理恵さん:そんな感じで、嘘みたいな、絶対実現できないわ、みたいな話も最初はしてみて

慎二郎さん:そこから実現可能な条件に落とし込んでいけばね。

理恵さん:一緒に夢を描く時間も楽しいですし、実際にそれが叶えられたらもっと嬉しいですし。まずは夫婦で存分に、夢を描いてみてはいかがでしょうか?


移住を「夢を語り合うところから始めてみる」と話してくださった藤田さんご夫妻。その言葉通り、いろんな夢や「やりたいこと」がギュッと詰まった暮らしをされているのが、お話を聞きながらすごく伝わってきました。

「移住を考えているけど何から始めたらいいのか分からない」と思っている方は、藤田さんご夫妻のように、まずは夢を存分に語ってみて、そこから自分の条件や目的、優先順位を絞ってみてはいかがでしょうか。きっと新しい「暮らし」が待っているはずです。

東本梅町のことをもっと知りたい方は
▶「東本梅町自治会ホームページ
理恵さんが事務として働かれている東本梅町自治会の公式ホームページです。東本梅町の「人」を紹介するインタビュー記事も、今後増えていく予定なのだとか。

▶「東本梅町 集落の教科書
「いいことも、そうでないことも、ちゃんと伝えたい」をコンセプトに、集落のルールやしきたりが分かる、移住を考えている方にはぜひ読んでいただきたい一冊。

▶「森の自然こども園東本梅
自然保育を行う亀岡市の認定のこども園。亀岡市内外から入園可能で、随時見学なども受け付けているそうです。

藤田さんに会いたい方は
京都移住コンシェルジュか、亀岡市ふるさと創生課までお問い合わせください!


(文責:京都移住コンシェルジュ 磯貝)

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