京都府公式移住・定住情報サイト 今日と明日 KYOTO LOCAL LIFE

移住者の声

地域の魅力を届けるために

懐かしい、あの土地へ

山下丈太さんが移住先として選んだ京都府相楽郡和束町は、お父様がかつて転勤で移住してきた土地でもありました。

「最初に和束に来たのは6歳の時。でもその年の冬、父の転勤でアメリカへ行きまして、数年後にまた戻って来たんです。それから、高校生まで和束で過ごしました。」

その後、山下さんは、滋賀県で馬の調教師を目指したり、大阪府で塾の講師や塾経営に携わったりするなど、拠点を絞らず働いていましたが、再び和束へと戻る決心をすることになります。

「結婚して子どもが生まれ、子育てに適した場所を探していた時、和束が2030年には限界集落になるという記事を読んだんです。懐かしの土地がそんなことになって欲しくないと思って移住を決めました。」

IMG_1066

20年近くの時を経て、奥様とお子さんを連れ、和束町へ帰ってきた山下さん。色々な土地、色々な仕事を体験してもなお、子ども時代を過ごした和束町への思いは、山下さんにとって何ものにも代え難いものでした。これまでの自身の経験を生かし、移住とともに起業を決意します。とは言え、町から離れていた時間が長かったこともあり、山下さんはまず、和束町の状況を深く知ることから始めました。

「時間をかけてじっくりと、今の和束を知りながら、自分は何が出来るのかを考えました。その後、会社を立ち上げて、祭りやイベントの開催、カフェの運営、茶文化体験、雇用相談など幅広い事業を手がけています。」

IMG_1114

田舎で何が出来るのか

様々なイベントや事業を手がける中で、山下さんが実感したことは、「地域の仕事は、何か一つだけでは突破力が小さい。しかし、色々な素材を組み合わせることで大きな推進力になる。」ということでした。和束町は「茶源郷」と呼ばれるほど、山、川、茶畑が広がる美しい場所。お茶という強みを活かした企画に、山下さんは次々とトライしています。

また、町内で消費を完結させ、小さい規模で独立する社会を目指しながらも、同じ考えを持ついくつかの町同士で交易を行い、協力していけるような社会も構想しているそうです。

「これから田舎で、人口が爆発的に増えていくことはないですから、少ない人口で何が出来るのかを考えています。2030年に限界集落になった時、僕らがここで何をやるか、むしろ希望に燃えていますよ。」と話す山下さん。地域の置かれた状況を悲観するのでなく、逆転の発想で行動しています。

IMG_1035

「以前は、働いて得た給料をどう使って楽しむか、刹那的な考え方しかしていませんでした。ふと、この先どうなるんだろうという考えが頭をよぎっても、飲みに行って忘れてしまう。でも、和束に来てからは、自分や町の将来など、これから先のことを真剣に考えるようになりましたね。」

地域に属し、住む場所のことを考えるということは、ひいては自身の生き方について真剣に向き合うことなのかもしれません。

支え合う関係に

あなたが移住を考えている土地。そこに対して最初に感じたものを思い出してみてください。「好き」という感情が、もしかしたらあったかもしれません。それはとても大事なことです。いろいろと緻密に組み立てた計画よりも、心が踊る「好き」という感情は、時に物事を大きく動かします。

休日にふらりと訪れた土地の風景が、なんとも言えず心地良く、そこで行う釣りや狩猟や米づくりが楽しくてたまらなかったとき、思いきってその土地にどっぷり浸ってみる。地域の人たちとも構えすぎず自然体で。そうして地域の方々と付き合っていくうちに、その場所はより一層好きになってくるものなのかもしれません。

そうして住んでいる地域が自分にとって大切な場所になったのなら、その地でぜひ、自分の「得意」を活かしてみてください。あなたにできること、あなたにしかできないこと、その土地やそこに住まう方々にとっても役立つことがきっとあります。住んでいる土地とあなた、そしてそこに住む人々が、お互いを支え合う関係になる。それはきっと、新しいたくさんの「好き」をあなたにもたらしてくれるかもしれません。

関連コラム Related column

一覧を見る