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移住者の声

農業をしながら自然食品を販売

賑やかな都会に別れを告げて

「何も考えなかったから来ることができたんです。」

あっけらかんとした様子で、そう話す宮園ナオミさん。「勢いと思い切りだけ」で移住してきたと言います。ナオミさんと夫の裕之さんは大阪生まれの都会育ち。京都府綾部市で二人が出会い、結婚して7年、二人のお子さんに恵まれた現在の生活は、ほんの偶然から始まります。

ナオミさんも裕之さんも、賑やかな都会での生活を満喫していました。しかしある時、突然の心境の変化が起こります。裕之さんは、移住に至るまでの経緯を懐かしむように話してくれました。

「大阪市の繁華街で12年ほどしていたバーテンダーを卒業して、何か新しいことを始めようと思った時、ふと米を作りたくなったんです。元々大学では農学部で、その気持ちを思い出しまして。ちょうど綾部で体験した米作りが面白くて。その時、お世話になった『里山ねっと・あやべ』を頼って綾部に移住しました。もう一度、丁稚から始めようという気持ちでした。」

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裕之さんが綾部市に移り住んだ頃、時を同じくしてナオミさんもまた綾部市にやって来ます。

「デパート、デパ地下、ネオンが大好き。毎日ハイヒールを履いて街を颯爽と歩くのが生き甲斐でした。飲食店で働いていたんですが、ある時、食に疑問を持ち始め、そのうち興味の矛先が自然食に行き着いたんです。」

綾部市の野草料理教室に通い始めたナオミさんは、そこで裕之さんと出会い、1年後に二人は結婚します。田舎暮らしに縁のなかった二人を、綾部の自然が結び付けたと言えるかもしれません。

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自然と寄り添い、新しいものを生み出す

移住後は、都会暮らしと違い不便もありました。しかし、不便を楽しむように生活をしていると、ナオミさんは話します。

「都会には出来上がったものしかないけれど、田舎は真っ白なスケッチブックのようで、自由に線を描いて、色を塗れます。クリエイティブな発想が育つんですよね。例えば、机が欲しいと思った時、買うのではなく自分で作ることを考えるようになります。材料は、近所の方が分けてくれることもあります。」

綾部市での暮らしについてはつらつと話す二人に、移住後に得られたものについて尋ねてみました。

「都会にいる時は、何で働いているんだろう、何で生きているんだろうと、いつも思っていたんです。でも、ここに来たら、生きている実感が湧いてくるようになりました。」

とナオミさんは答えてくれました。それを受けて、裕之さんも、

「移住してきてからは、何だか構えなくなりましたね。年々、肩の力が抜けていきます。そうしたら、体が生き生きしてきた気がするんです。いまだに困ることと言ったら、近くに大きな書店がないことくらいですよ。」

と笑います。今二人は、裕之さんが収穫した野菜や穀物を自然食品として販売し、ナオミさんがそれを使って料理教室を開き、日々の生計を立てています。

「農業をやるようになってからは農業という仕事で食物を生み出すということもあり、仕事と生きることが直結しているんだと分かりました。」

と、裕之さんは言います。

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働くこと、生きること。都会の暮らしの中で分かれてしまった二つの営みを、田舎暮らしが再び繋ぎ合わせてくれると、裕之さんとナオミさんは教えてくれました。

やりたいことを目一杯

やりたいことが収入に直結するとは限らないけれど、だからといって、収入を得るために自分を抑えて世のなかのニーズに合わせていくことも、なんだか違う気がする。好きなことをやりたいけれど、それだけでは生活していけないのではないか?そんな悩みをこえて、地域に移住した方々がいます。

家賃や食べものに稼いだお金を払う生き方から、古くから大事にされてきた家を直し、食べものを自ら育てる暮らしを実現させたとき、今まで常識だと思っていたことが少し変わるかもしれません。衣食住といった、生活するうえでの最低限の要素に自ら関わっていくことが日常となったとき、いままでの不安や悩みは、もしかするとフッと軽くなるのかもしれません。

軽くなった分、あなたなら何をしますか?やりたかった創作活動を再開する。手仕事をはじめてみる。畑で収穫した野菜を使って、自然食のカフェレストランを経営してみる。子どもを授かったら、畑仕事の傍ら子育てをされている方もたくさんいらっしゃいます。生活が仕事になり、そこからほかの仕事も見つかりと、自然と自分との生活の循環を楽しむ。あなたも、自分らしい「なりわい」を見つけてみませんか。

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