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移住者の声

半農半主夫で育児にも専念

お子さんたちに囲まれた毎日

丹後半島の付け根に位置する京都府与謝野郡与謝野町に移住してきた杉原良さんと、奥様の千明さん。この地は、千明さんの生まれ故郷でもありました。移住して数年、三人のお子さんに恵まれて、現在は家族五人で暮らしています。

しかし、移住前に今のような暮らしは想像も出来なかったと、良さんはかつての暮らしを振り返ります。

「京都市内で生活を送っていた頃は、それぞれの仕事が忙しく、子どものいる未来なんて考えもつかなかったですね。本当に、この場所に来たからこそ、子どもを産んで育てることが出来たと思います。30歳を目前にして、このまま今の生活を続けていても仕方ない、脱サラしようと。ずっとやりたいと思っていた農業を志すことにしました。まず初めは、岡山へ修業に行ったんです。」

岡山での修業の後、夫婦でよくツーリングに来ていた丹後地域への移住を決意し、良さんは念願の農業を始めます。千明さんは、地域の農産物を販売する「森の直売所」の運営事務局で、集落の活性化を図る仕事に就きました。

移住後は、都会で仕事に忙殺されていた日々が嘘だったかのように時間の余裕が出来たと言い、移住の翌年には第一子が誕生。さらに数年後に第二子、第三子が誕生しました。良さんは「半農半主夫」として、育児にも協力的だそうです。それついて、千明さんが嬉しそうに話してくれました。

「田舎だと、未だにイクメンという考え方が浸透していなくて、年配の男性からはなかなか理解を得られないのですが、主婦層には羨ましがられています。いつも身近にお父さんがいると、子どもがどういう風に育つかも楽しみです。」

地域の人々が支えに

好きな仕事をしながらも夫婦で育児を行う、ゆとりのある生活。とは言え、都会に比べて、田舎は収入面で不利です。お子さん三人を養う杉原家の家計は、大丈夫なのでしょうか。

「この地域は子だくさんで、四人兄弟の子どもがいる家庭も多いんです。先に住んでいる育児の先輩方が、多少収入が少なくても何とかなるということを示してくれています。それに、移住した当初、ある方から『ほんまに困ったときは、周りが助けてくれる』という言葉をいただいたことも大きな支えになりました。なので、今ものびのびと子どもを育てることが出来ています。」

良さんは、地域の方の支えについて、第三子が出産間近になった真冬の夜のことを例に挙げて話してくれました。

「ちょうど妻が産気付いた晩は、その年一番の寒波が来ていた日でした。早く病院に行きたいけど、こんな寒い日に上の子どもたちを連れて行くべきか、すごく悩んでいました。その時、ご近所の方が快く子どもたちを預かってくれたんです。本当に感謝に堪えません。僕たちは移住組の核家族ですが、近所の方々がまるで本当のおじいちゃん、おばあちゃんのように、子どもを可愛いがってくれるんです。遊び場もたくさんありますし、育児環境は最高ですね。」

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近所の方の人柄の良さが、移住生活の何よりの支えになっていると話す良さん。故に嬉しい悲鳴もあると言います。

「皆さんの『おもてなし』の精神があり過ぎて、むしろ、移住者に気を遣い過ぎて疲れないだろうかと心配になるくらいです。長く暮らしていくためには、お互いに気を遣い過ぎないようにすることも課題かもしれませんね。」

田舎ならではの優しさに甘え過ぎたり、濃密な人付き合いに頼り過ぎたりするのではなく、自立した気持ちを持って地域に溶け込むことが、長く関係を続けていくコツだと、杉原夫妻は教えてくれました。

都会にはないものがそこにある

都会で働いていると、高層ビルが空を覆ってしまっていて、小さな空を眺めることが少なくありません。会社までの道のりで出会うのは、たくさんの人、たくさんの車。どこか窮屈さを感じながら生活が進んでいく。そんな想いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。子どもにも、もしかしたら窮屈な思いをさせているのかもしれない。子育てのために田舎で暮らすことを選択したい。だけど、どういった子育てになるのかが不安で踏み出せない方も多くいらっしゃいます。

地域での子育ては空気も澄んだ、広々とした自然の中、子どもたちが駆け回ることができます。満点の星を仰いだり、雪を踏みしめたり、刻々と表情を変える風景に驚きながら生活をする。見たことのない昆虫や鳥など、たくさんの生き物に触れることは子どもの五感を刺激します。

田舎ではご近所の方とのお付き合いが都会に比べ密接なため、手が離せないときに子どもを見てもらうというお話も良く聞きます。今や、「核家族」が当たり前で、隣近所の交流は少ない街が多いなか、田舎には新しい家族の形の可能性があるのかもしれません。人も自然もあたたかい、その懐に思い切って飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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